説明文書
患者さんへ
臨床研究「男性不妊症(乏精子症・精子無力症)患者を対象とした鍼治療の研究」へのご協力のお願い
明治国際医療大学大学院
鍼灸学研究科 鍼灸学専攻 鍼灸臨床医学分野
児山 俊浩
2015年3月4日作成
1.はじめに
今回の臨床研究は、男性不妊症(乏精子症・精子無力症)患者さんに対し鍼治療を行いながら、医療機関と連携し客観的な検査データを用いて検証するものです。鍼治療の効果が実証されることは、男性不妊治療の選択肢の一つとして有用であると考え、患者さんのご協力により成し遂げることができるものです。今回参加をお願いする臨床研究は“介入研究”と呼ばれるもので、実際の診療に携わる医師と臨床鍼灸師が医学的必要性・重要性を鑑みて立案し計画して行うものです。
本冊子は臨床研究について説明する文書です。この文書をよく読んだ上で、臨床研究への参加についてご同意いただけるかをお考えください。この説明文書でわからないことがありましたら、相談窓口に遠慮なくおたずねください。
2.(疾患名)について
【対象】乏精子症、または精子無力症患者
西洋医学におけるホルモン治療中の患者は除く
3.臨床研究の目的
この臨床研究は、乏精子症、または精子無力症の患者さんを対象に、鍼の治療成果があるかどうかを調べることを目的としています。週一回で約6ヶ月の鍼治療を受け、その有効性を調べます。
4.臨床研究の方法について
①臨床研究への参加規準
参加できる方:(以下の条件にすべて当てはまる方)
●18歳以上の男性
●最初に指定病院(名古屋泌尿器科病院)で検査を受け、乏精子症・精子無力症
と診断された方
参加できない方:(以下の条件のどれか一つでも当てはまる方)
●現在、乏精子症・精子無力症に対する西洋医学でのホルモン治療中の方
②臨床研究のスケジュール
この研究に同意いただきましたら、鍼治療における有効性を確かめるため、スケジュール表に沿って、検査と診察も受けていただきます。【図1】
まずはじめに、名古屋泌尿器科病院にて、検査と診察を受けていただき、乏精子症または精子無力症と診断を受けた場合、2週間以内に1回目の鍼治療を開始します。その後継続的に週一回、できるだけ同じ曜日で鍼治療を12週間(前半合計12回)受けていただきます。前半の鍼治療は全12回が終了したところで、2週間以内に名古屋泌尿器科病院にて検査と診察を受けていただき、鍼治療の有効性を確かめます。再び、2週間以内に後半の鍼治療を再開いたします。前半と同様に週一回、できるだけ同じ曜日で鍼治療を12週間(後半合計12回)を継続的に受けていただきます。後半の鍼治療が12週間終了したところで、名古屋泌尿器科病院で検査と診察を受けていただき、研究終了となります。
【図1】研究スケジュール
③病院での検査
名古屋泌尿器科病院で検査をおこなってください。検査は血液検査、精液検査、超音波検査を実施します。検査費用は自己負担(検査1回目3割負担の場合:自己負担金3,930円、検査2・3回目3割負担の場合:自己負担金2,410円)になりますので、ご了承ください。
【お願い】
1)禁欲期間 検査日からさかのぼって5~7日間は空けてください。
2)精子は病院で検査日に採取いたします。
3)ご予約をして検査を行っていただきますが、午前中に受診してください。
4)被験者希望者はまず病院での検査を行ってください。
最初の検査で男性不妊症と診断されなかった場合は、この先の治療や検査には進みません。「男性不妊症」と診断された方のみを『正被験者』として、研究に参加していただきます。
④鍼灸院での治療費
東洋医学総合はりきゅう治療院一鍼で鍼治療をおこなってください。治療費についてのご負担は一切ございません。
5.臨床研究終了後の治療について
臨床研究終了後の治療は特に決めていません。
6.臨床研究への参加予定期間と参加予定人数
この臨床研究の被験者募集開始、および実施期間は2015年2月1日~2016年3月31日で、60名の患者さんに参加していただく予定です。あなたが、この研究に参加された場合の予定参加期間は、診察&検査が3日、鍼治療が前期で約12週間、後期で約12週間となります。
7.臨床研究の期待される効果
【期待される研究成果】
(1)鍼治療が男性不妊治療の選択肢の一つとして有用となる。
(2)鍼治療と泌尿器科との連携が可能となる。
(3)鍼治療が統合医療の一つとして有用となる。
(4)社会的には、世界的に低い日本の合計特殊出生率について貢献の可能性がある。
もし研究中に好ましくない症状が認められた場合には、担当医師の判断により、研究を中止する場合もあります。
8.臨床研究への参加と辞退について
この臨床研究の説明を聞いた上で、参加されるかどうかをあなたの自由な意思で決めてください。あなたがこの臨床研究に参加された後でも、参加を取りやめることができます。参加を辞退されたとしても、あなたが不利益を受けることはありません。また、研究の途中で参加を辞退された場合、参加辞退の連絡があるまでの検査などの結果を使用させていただきます。それらについて使用して欲しくない場合は、参加辞退の連絡の際に、合わせてお申し出ください。
また、臨床研究実施中に、あなたの臨床研究継続の意思決定に関わるような新しい情報が得られた場合には、速やかにお知らせし、臨床研究に継続して参加していただけるかどうか確認させていただきます。
9.臨床研究の中止について
次のような場合、あなたに臨床研究継続の意思があっても、担当医師の判断で中止させていただくことがあります。
l この臨床研究の参加できる条件に合わないことがわかったとき
l 病気の状態により治療法を変える必要があるとき
l この試験全体が中止になったとき
10.健康被害が生じた場合
この臨床研究は、これまでの研究に基づいて科学的に計画され、慎重に行われますが、もし健康被害が生じた場合には、医療機関で診断を受けてください。ただし、健康被害の治療にはあなたの健康保険を適用した診療費がかかり、この臨床研究からの特別な補償はありません。あなたが何か異常を感じた場合は、直ちに最寄りの医療機関で診察を受けてください。
11.臨床研究の費用について
この研究に関わる鍼治療の費用は、東洋医学総合はりきゅう治療院一鍼が全額負担します。ただし、鍼治療実施前(被験者かどうかを見極めるとき)、鍼治療の前半終了後、鍼治療後半終了後、それぞれに行う3回の病院での診察&検査費用に関しては、保険診療で自己負担分をお支払いいただくことになります。
12.プライバシーの保護について
この臨床研究の結果は、医学雑誌などに発表されることがありますが、その際にあなたのお名前や身元などが明らかになるようなことはありません。また、医療関係者はあなたの秘密を守ることを法律で義務づけられていますし、当院のきまりに基づき個人情報保護法に沿って皆様の情報を取り扱いますので、プライバシーが外部に漏れることもありません。個人情報管理者として、明治国際医療大学大学院 泌尿器科学 邵 仁哲が担当します。
また、臨床研究の内容を確認するために、この臨床研究の関係者があなたのカルテをみることがありますが、これらの人達は仕事上で知ったことについて秘密を守る義務があり、個人情報保護法に基づいて仕事をしますので、あなたのプライバシーが外部に漏れる心配はありません。この同意書に署名されますと、上記の者がカルテ等の内容をみることについてもご了承いただいたものとして取り扱わせていただきます。
試験参加を途中で止めた場合でも、それまでに得られた情報は使用させていただくことになりますが、拒否される場合はお申し出ください。
13.あなたに守っていただきたいこと
研究期間中は、他の鍼灸治療を受けたり、また、病院でホルモン治療を開始するなど、別の治療が併用されると、研究における鍼治療の効果が測れなくなる場合があります。他の治療を行う場合は、予め研究相談窓口にご相談ください。ただし、他の治療を行う場合は、研究中止のお願いをする場合があります。
14.資料・試料について
ご提供いただいた検体ならびに情報は、研究の目的で使用させていただきます。ご提供いただいた検体ならびに情報は、研究内容の公正な審査の後に研究者に提供され、決して売買されることはありません。なお、検体はご提供いただいた患者さんに対価が支払われることもありません。
15.この臨床研究に関する研究組織
この臨床研究は明治国際医療大学大学院 鍼灸学研究科が主体となって行います。
研究責任医師:明治国際医療大学大学院 泌尿器科学 教授 邵 仁哲
研究協力医師:名古屋泌尿器科病院 院長 小島 宗門
研究担当鍼灸師:明治国際医療大学大学院 鍼灸学研究科 鍼灸学専攻 鍼灸臨床医学分野在籍/東洋医学総合はりきゅう治療院一鍼 院長 児山 俊浩
以上のこの臨床研究に加わる医師および鍼灸師が、この臨床試験に関連して特定の利益を受けたり、不利益を受けたりすることはなく、また臨床研究の内容に関わる企業などの組織に関与していることはありません。
16.お問い合わせ先
この臨床研究について、心配なことや、わからないこと、何か異常を感じられたときは、いつでもご遠慮なく相談窓口にご相談ください。
〈研究担当鍼灸師・相談窓口〉
東洋医学総合はりきゅう治療院一鍼 児山 俊浩
月~土 10:00~17:00 木 10:00~12:00
電話:052-761-9780
心配なこと、不安に思われていることなどがありましたら、ご遠慮なくご相談ください。