(指圧・はり・マッサージサービスにて)
フィリピンの首都マニラ マカティ市で開業されている日本人鍼灸師 「指圧・はり・マッサージサービス」院長 小泉先生に海外での鍼灸についてお話を伺ってきました。
2016年ネパールのルンビニにて、ティテパティよもぎの会主催ヘルスキャンプで一緒に活動した手島先生より紹介のJervis氏のコーディネートのもと訪問することができました。
高層ビルのオフィスや多くのショッピングモールが立ち並ぶ都心エリアであるマカティ市に治療院はあります。
小泉先生は、日本で15年、フィリピンで22年の臨床経験を持つ先生です。スタッフ5名で、休診日無しで診療されています。
治療院には、フィリピンのプロサッカーチームも治療に来られています。
多い疾患としては、頚腕症候群、婦人科疾患、不定愁訴の患者様が来院されており、心療内科系の不定愁訴に関しては、1時間カウンセリングを行ってから、治療をされています。
頚腕症候群が多い理由は、パソコンやスマホの普及の影響が強く、パソコンの位置が高すぎることが多いので、パソコンの位置を変えてもらったり、姿勢についてアドバイスもされています。
日本とフィリピンの来院患者の症状の違いは、ほとんどないそうです。ただ、季節性の症状はみられないとのことです。
小泉先生がフィリピンに行かれたきっかけは、日本で勤めていた貿易会社が、フィリピンに支社を出すことになり、フィリピンに来られ、その後、ご結婚されました。
そして、貿易会社を退職され、現在の「指圧・はり・マッサージサービス」を開業されました。
日本で技術を身につけて、現在は、経絡、漢方、西洋医学的な理論を折衷して、治療をされています。
治療に使用する鍼は、基本6本で、中には、20〜30本の方もいます。術式は、置鍼、単刺、散鍼などであり、基本的には、切皮のみで1mm刺入。経絡に沿って、気血を流すのが、目的です。
また、内臓の症状等においては、器質的なものよりも機能的なものが多く、心身相関的なものが多いとのこと。そのような場合、胃腸の働きを上げて、体力の底上げをすることをベースに治療されています。胃腸がしっかりしないと心も良くならないということが理由であるためです。病気に対する不安が大きい患者様に対しては、「1つ症状が取れたんだから、後は明るいんだよ」という言葉がけが大事であるとのことです。
そして、小泉先生考案の磁石を使用した通称「NS鍼」を見せていただきました。外関・臨泣に刺鍼し、磁石をつけるというもので、パルスを使用するよい過剰刺激にならないとことです。
また、現地での保険治療は、民間の保険会社があるが、ほとんどが自費治療となっています。
これから、海外で働きたい若い鍼灸師・鍼灸学生に向けてメッセージをいただきました。
「海外に出るためには、まず生活できるだけの資金を準備して、最低限の医学知識を身につけて、治療ができないといけない。そして、現地のリサーチが大事であり、2年は住む覚悟が必要である」
海外での厳しい状況を、乗り越えてこられた小泉先生だからこそのメッセージであると感じました。
「一生勉強。勉強しなくなったら終わり」と継続する力を大切にされている小泉先生が、治療家にとって一番大切なこととは、「対峙したクライアントから逃げないこと。あらゆるものを総動員して治療する」と真摯に患者と向き合う医療を実践されていました。
小泉先生のお話をお聴きしまして、困っている患者様を助け、とても信頼の厚い先生であると感じました。
ご縁をいただきましたことを心より感謝申し上げます。
2018年5月14日(月) 指圧・はり・マッサージサービスにて